化学物質過敏症になると、食べ物にも反応する。自分の体に合った食事療法で、過敏度を下げよう!
なぜ、食生活を変えなければならないの?
「私は、 “化学物質過敏症” なのに、なぜ、食生活を変えなければならないの?」
その答えは、「化学物質過敏症の人は、例外なく食べ物にも反応するから」です。
化学物質過敏症になると、食べ物にも反応する
化学物質に反応する私たちにとって、農薬や食品添加物を避けることはもちろん大事です。
ただ、それだけでは、過敏度を下げることは難しいです。
化学物質過敏症になると、食べ物にも反応するようなります。
食べ物にまで反応するという事実は、多くの化学物質過敏症の人にとって受け入れがたいことですが、食べ物は、化学物質過敏症だけでなく、様々な体調不良の原因になります。
自分の体に合った食事療法で、過敏度は下げられる
私は、多くの化学物質過敏症の治療法の中で、食事療法に重点を置いています。
そもそも私が食事療法をはじめたきっかけは、プラスチックに触れただけで手が血まみれになるほどの重症な化学物質過敏症の患者さんが、食生活を見直すことで、劇的に症状が改善したという症例を目にしたからです。
その患者さんが実践している食事療法を基にした治療法を行っている食物アレルギーの専門医を受診し、医師に教えられた食生活を実践したところ、今まで何をやっても治らなかった化学物質過敏症の症状が、びっくりするほど改善していったのです。
その食事療法は、自分の体に合うものだけを食べ、合わない物は食べないという、とてもシンプルなものでした。
その食事療法を実践したことで、自分の体に合った食事を摂ることで、化学物質に対する過敏度は下げられるのだということを学びました。
それまでにも玄米菜食などの食事療法を試したことがありましたが、効果が感じられなかったのは、自分の体に合っていなかったからなのだと気づきました。
今まで、様々な食事療法を試しても、化学物質過敏症の症状が改善しなかったのは、その食事療法が、あなたの体に合っていなかった可能性があります。
自分の体に合った食べ物だけを食べるという食事療法は、その人の体質を一番に考慮しているので、誰にとっても効果のある食事療法だと言えます。
食べ物から受ける影響というのは、想像以上に大きいものです。
自分の体に合った食事療法は、とにかく即効性があり、効果が高いと感じています。
化学物質過敏症の人の中には、たまたま私にその食事療法が合っていただけだと解釈する方もいるでしょう。
しかし、様々な専門書や、実際に化学物質過敏症の治療に当たっている医師の話を聞いているうちに、多くの人に当てはまるということが分かってきたのです。
化学物質過敏症の人は、例外なく食物アレルギーを併発している
化学物質過敏症の最先端の食事療法を行っているアメリカの専門医の著書によると、化学物質過敏症の人は、ほぼ例外なく食物アレルギーを併発していると記載されてます。
私は、はじめてこの本を読んだ時、ものすごい衝撃を受けました。
その本には、化学物質過敏症のみならず、原因不明と言われている多くの体や心の病気が、食べ物によって引き起こされるということが、様々な症例と共に紹介されていました。
しかも、卵や牛乳などが原因となる子供の食物アレルギーとは違って、一般的には無害だと言われている米などでも起こりうるのだというのです。
世の中には、血液検査では分からない食物アレルギーの方が圧倒的に多いということも書かれていました。
その本を読んで、食物アレルギーは、子供や一部の特別な人がなるものではないということを知りました。
化学物質過敏症と食物アレルギーの診療は、元々セットで行われていた
日本ではあまり知られていませんが、化学物質過敏症と食物アレルギーの診療は、元々セットで行われていました。
そもそも化学物質過敏症は、1960年頃、アメリカのランドルフ博士が、食物アレルギーの診療の場ではじめて見つけた病気です。
ランドルフ博士は、食べ物で起きている様々な体調不良が、化学物質によっても同じように起こることを発見しました。
つまり、はじめから化学物質過敏症の専門医というものが存在していたわけではなく、かつては食物アレルギーの専門医が、化学物質過敏症を診ていたのです。
そのため、当時は、化学物質過敏症の診療の場で、食物アレルギーの治療が必須でした。
ランドルフ博士は、化学物質敏症と食物アレルギーを症状から区別することはできないと言っています。
このことから、化学物質過敏症の治療を行う上で、食生活がいかに重要な役割を占めているかがお分かりいただけると思います。
日本の食物アレルギーの診療の場で、化学物質過敏症が改善している
アメリカでは、今でも食物アレルギーの専門医の多くが、食物アレルギーと同時に化学物質過敏症を治しています。
日本の食物アレルギーの専門医の中でも、少ないながら、化学物質過敏症を治療している医師が存在しています。
驚いたことに、新たに化学物質の対策を施さなくても、食生活を見直すだけで改善している例が非常に多いのです。
しかも、化学物質過敏症だけでなく、電磁波過敏症も治っています。
一般的には治療法がないと言われている化学物質過敏症が、食物アレルギーの診療の場で改善しているのです。
口から取り込むものには最も注意が必要
なぜ、食べ物がそんなにも健康状態に影響を与えるのかというと、食べ物が口から摂り込まれた後、消化管を通過することと関係しています。
ただ単に、食べ物を手で触る程度だったらそこまで悪い影響を及ぼしませんが、消化管を通過することによって、体への負担は増強します。
化学物質の場合も、口から摂り入れる農薬や食品添加物などには、特に注意が必要です。
一般的には、口から摂り入れる化学物質は、肝臓で解毒されるため、呼吸から取り入れるよりも害が少ないと言われています
しかし、これには大きな落とし穴があります。
食物アレルギーの専門家が、口から摂り入れる化学物質は最も害が大きいと指摘しています。
詳しくは、食べ物に含まれる化学物質のページで紹介していきます。
毎日食事はしているけれど、食べた後に症状が悪化しないのはなぜ?
「化学物質過敏症になると、食べ物にも反応すると言われても、食べた後に症状が悪化しないので、本当なのか信じられない。」
と疑問に思う方もいると思いますが、食べた後、すぐに症状が現れない場合があります。
詳しくは、あなたは食物依存症かもしれないをご覧ください。
食事は化学物質過敏症の原因の中で最もコントロールしやすい
化学物質を完全に取り除くことは不可能
化学物質過敏症の治療の基本は、日常生活の中から化学物質を取り除くことです。
しかし、多くの化学物質過敏症の人は、化学物質の対策をしているだけでは、過敏度を下げることは難しいことを身をもって知っているはずです。
今の世の中、化学物質を完全に取り除くことは困難であり、化学物質の回避以外に治療法がないとしたら、化学物質過敏症は治療不可能・・・ということになってしまいます。
しかし、化学物質過敏症 発症のメカニズムを見ていただければ分かるように、化学物質過敏症は、化学物質だけが原因で発症するのではありません。
体内に取り込まれた化学物質や電磁波、食べ物などの様々なストレスが、その人の許容量を超えてしまうと発症すると言われています。
逆を言えば、化学物質過敏症は、化学物質以外の原因を除去することによって、治療できるということになります。
そこで一番手取り早いのが、食生活の改善です。
食事療法の5つのメリット
食事療法には、5つのメリットがあります。
- ❶ 効果が高く、即効性がある
- ❷ 効果が安定していて再発しにくい
- ❸ 最もコントロールしやすい
- ❹ 経済的負担が少ない
- ❺ 化学物質過敏症以外の体調不良にも効果がある
即効性がある
食事療法の一番の魅力は、即効性があるという点です。
化学物質過敏症の治療法の中には、効果が出るまでに何年もかかるものもあり、例え効果があったとしても、効果の度合いが少なく、実感できないものがほとんどです。
しかし、食事療法を行っている専門医の症例では、たった25日で化学物質過敏症を治してしまったという例もあるそうです。
私は、食事療法をはじめてから間もなく、様々な症状が次から次へと改善され、半年後にはほぼ元どおりの生活が送れるレベルまで回復しました。
半年と聞くと長く感じる方もいるかもしれませんが、何をしても治らなかった様々な症状が、面白いほど立て続けに改善していったので、その半年間は決して苦ではありませんでした。
化学物質過敏症は、長引けば長引くほど、どんどん治療法を試す気力がなくなってきて、最後には、何をするのもおっくうになってしまいます。
とにかく早く過敏度を下げたいのであれば、食事療法が最も有効だと実感しています。
効果が安定していて再発しにくい
化学物質過敏症は、多方面からの治療が必要ですが、食生活の改善は、より原因に沿った治療であり、その効果に大きなものがあり、安定しています。
化学物質過敏症の治療法には、原因物質を取り除く方法と栄養などを取り入れる方法の2通りがあり、食事療法は、原因物質を取り除く方法にあたります。
いくら栄養を摂取しても、原因物質の影響が大きければ、根本的な改善は期待できません。
食事療法は、化学物質の対策や栄養療法だけではどうにもならない人には特に有効な治療法だと言えるでしょう。
私は、食事療法を開始してから8年が経ちますが、その間、化学物質過敏症は一度も再発していません。
最もコントロールしやすい
食べ物は、化学物質と違って自分でコントロールすることが可能です。
化学物質過敏症の原因物質であるホルムアルデヒドやカビなどを、環境から0にすることはできません。
電磁波や天気などもコントロール不可能です。
しかし、体調不良の原因になりうる小麦などの食べ物を0にすることは可能です。
また、食べ物は、花粉やカビなどと違って、誰もが毎日のように大量にさらされるものなので、その影響自体がかなり大きく、取り除いた時には、劇的に症状が改善する可能性があります。
食べ物は、化学物質過敏症の色々な対策の中で、最もコントロール可能であると言えるでしょう。
経済的負担が少ない
化学物質過敏症になると、化学物質や電磁波対策など、とにかくお金がかかることばかりです。
それに比べて食事療法は、除去する食べ物が大量でない場合、多くの治療法の中でも、経済的負担が少なくて済みます。
化学物質過敏症以外の体調不良にも効果がある
食事療法をはじめてとにかくびっくりしたことは、化学物質過敏症以外の体調不良も一緒に治ってしまったことです。
私は、化学物質過敏症の発症前から、吐き気やめまい、頭痛、耳鳴り、息苦しさ、頻尿、不眠、慢性疲労、うつ病、パニック障害など、原因不明の体調不良のオンパレードでしたが、食事療法をはじめたことで、そのほとんどの症状が改善しました。
普段当たり前のように食べている食べ物が、こんなにも体調不良の原因になるものなのかと驚きました。
専門書に書かれている食事療法を、そのまま実践するのは困難
化学物質過敏症を実際に治療した医師の著書に記載されている食事療法をそのまま実践するのは、多くの化学物質過敏症の人にとって困難です。
その専門書に書かれている食事療法は、少なくとも5日間の絶食が必要で、しかも絶食の間、一時的に化学物質過敏症の症状が悪化する危険性があります。
そのため、その食事療法を行う医師達は、特別な環境を整えた医療機関で実施しています。
しかし、私が出会った食物アレルギーの医師は、その専門書に書かれた内容を基に、絶食しなくても良い方法を知っていました。
医師に教えられた食事療法だけでもかなり改善しましたが、最終的にはその食事療法を自分でアレンジし、劇的に症状が改善しました。
このサイトでは、実際に私が行っている食事療法を紹介していきます。
専門書に書かれている食事療法については、体調不良の原因である食べ物を特定すると、回転食とは?のページで詳しく紹介していきます。
私が行っている、専門書に書かれている内容をアレンジした食事療法については、私の食事療法のページで詳しく紹介していきます。
化学物質過敏症を改善する食事療法とは?
自分の体に合ったものだけを食べ、合わないものは食べない
化学物質過敏症を改善する食事療法は、今まで見てきた様々な食事療法と、根本的に違っていました。
その食事療法は、とにかくシンプルでした。
自然療法や一般的な健康法などでよく言われる、
「精白したものは体に悪い」 「動物性のものは血液を汚す」 「栄養面を考えて品目数を多く」
などといったアバウトなものではなく、自分の体に合ったものだけを食べ、合わないものは食べないという、非常にシンプルなものでした。
ひとりひとりの体質に合わせた食事が大事
以前の私は、食べ物は自然のものなので、誰にとっても悪いものではないと思っていました。
しかし、この食事療法を続けている内に、人の体はひとりひとり違うので、合う合わないがあるのは、当然だと思うようになりました。
自分の体質を一番に考慮しているので、これ以上の食事療法はないと思っています。
一般的な治療法で効果が出ない時は、食事療法に切り替えよう
化学物質過敏症になると、日常生活を送ることが非常に困難になるので、多くの発症者の人が、
「これ以上辛い状況にいたくない」 「一刻も早く、普通の生活を取り戻したい」
と、切に願うものです。
何とかして治そうと効果のありそうな治療法を試してみたものの、症状が一向に改善しないという方も多いと思います。
そんな人にこそ、即効性があり、効果が高い、自分の体に合った食べ物だけを食べるという食事療法を実践していただきたいです。
化学物質過敏症と食物アレルギーは、切り離せないものです。
自分の体に合わない食べ物を食べることによって生じる健康被害は、想像をはるかに超えています。
だからこそ、食生活を見直すことに意味があるのです。
「今まであんなに頑張っても治らなかった化学物質過敏症が、食生活を改善するだけで治るはずがない」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、専門医が、
「化学物質過敏症の人は、ほぼ例外なく食物アレルギーを併発している」
と言うほどなので、自分の体に合った食事療法は、誰もが一度は試す価値のある治療法なのではないでしょうか?
一般的に化学物質過敏症に良いと言われている治療法で効果が出なかったら、食事療法に切り替えてみてはいかがですか?
※食事療法についての記述は、以下4点の本を参考にいたしました。
参考文献:
- ・河野 泉(著). 原因不明の疾患とアレルギーの新療法. 芽ばえ社 . 2012. 304p.
- ・河野 泉(著). 食物アレルギーの脅威―もうひとつの医学. 桐書房 . 1992. 303p
- ・セロン・G. ランドルフ(著) ラルフ・W モス(著) 河野 泉 (翻訳) 石川 広己 (翻訳). ランドルフ博士の新しいアレルギー根絶法―現代の難病(アトピーから心身症まで)が治る. 桐書房.1994. 394p.
- ・マーシャル マンデル(著) リン・W. スキャンロン (著) 河野 泉 (翻訳). マンデル博士のアレルギー治療法 . 桐書房 . 1989. 336p.